今回は医療機関ホームページ制作で悩む単語や意味、よくある誤用・誤字をまとめました。知っているものもありますが、意外と間違えたりするホームページを見かけるので、念のためまとめおこうと思いました。
一つのネット辞書だけで調べると偏りそうなので、Weblio辞書、goo辞書、Wikipediaの3つで調べた意味を掲載しておきます。
「診察」と「診断」と「診療」の違い
まずは診察から。
医者が病状を判断するため、患者に質問したり体を調べたりすること。
病気の有無や病状などを判断するために、医師が患者のからだを調べたり質問したりすること。
診察(しんさつ)とは、医師・歯科医師が患者の病状を判断するために、質問をしたり体を調べたりすること。
続いて診断。
医者が患者を診察し、病状を判断すること。
医者が患者を診察して、健康状態、病気の種類や病状などを判断すること。
診断(しんだん、英語:diagnosis)とは、診察などを行い健康状態や病状を判断すること。
診察の「察」は、観察や考察などの言葉にも使われているように、診たり調べたりする意味を持つ漢字です。
つまり、「ふむふむなるほど。でここが痛いと。頭は痛む?いつから症状が出始めました?(診察)」をしてから「なるほど。あなたは〇〇の病気ですね(診断)」するという事が言えます。
続いて診療。
診療(しんりょう)とは、医療従事者が診察や治療などを行うことである。
医師が患者を診察し、治療すること。
医師が患者を診察し、治療すること。
診察と治療が合わさったのが診療です。診察・診断しても自然治癒・回復が見込める場合は治療しないこともあります。その場合は診療は使わないということが言えます。
あと「診察して診療します。」や「診療してから治療します。」などの言い回しは同じ意味が含まれるため、誤用という事が言えますね。
「保険適応」と「保険適用」の違い
これはネットで調べると、詳しいサイトがすぐ出てくるので知ってる方も多いと思います。
「保険適用」だけが正しく、「保険適応」は誤用と存じます。
医師は、結構ごっちゃに使ってます。それは「適応外使用」の語に馴染んでいるいるからと推察します。(薬剤師もあやしいかも)
医薬品を、承認されている効能・効果、あるいは用法・用量で使用することが「適応」です。それを外すと「適応外」です。現実医療では、適応外使用はありふれたことですし、時には「適応が広がる(=承認内容が広がる)」こともあります。
こんな事情で、「適用」と「適応」は、医師にとってはどちらも日常的用語であるが故に、区別があいまいになっているのです。ともに薬の使用法に関わるので、話してるご本人も意識してない様子です。
確かに似たような言葉がたくさん出てくると混同してしまいますよね。
経緯はさておき、ホームページ制作会社は「保険適用」、これだけを覚えておけば問題ないでしょう。
「自費診療」と「自由診療」の違い
まずはGoogleで「自費診療 とは」を調べてみます。が、調べても適切な検索結果は出てきません。weblio辞書やgoo辞書に自費診療と入れても出てきません…
つまり、自費診療という言葉はなく、誤用という事だと思います。ちなみに、似たような言葉「自費治療」も調べてみましたが出てきませんでした。公的医療保険が適用されない診療(保険適用外の診療)となることを伝えたい場合は「自由診療」、または「保険外診療」の言葉を使用するのが良いと思います。あまり間違える人いないと思いますが、「自由治療」も誤用になります。
まあ誤用でも患者さんに伝わることが大事であって、意味は伝わるので使っても問題ないのですが念のため。
ちなみに、weblio辞書やgoo辞書で「自由診療」を調べるとちゃんと出てきます。
公的な保険で認められていない方法・材料・薬剤を用いる、保険の適用対象にならない診療。自費診療。
公的医療保険制度の枠外の診療を受けること。「保険診療」に対していう。保険適用外の新薬、最先端の医療を受けられるが費用は自費となる。保険外診療。
weblio辞書では「自費診療」という言葉が出てくるのでweblio辞書で自費診療を検索してみたのですが、検索結果では出てきません。なぜなんでしょう…
「保険外診療」はWeblio辞書とgoo辞書で調べると自由診療に飛びます。厚生労働省のホームページで保険で認められている治療法を「保険診療」と言ってるのに対し、保険で認められていない治療法を「保険外診療」としているのが由来と思います。
それにしても、なぜ「自費診療」や「自費治療」という言葉が生まれたのでしょうね?たしかに自費とは自分で支払う費用のことなので、あってもおかしくないのですが…
「検診」と「健診」の違い
まず検診。
病気にかかっているかどうかを知るために診察すること。
ある特定の病気にかかっているかどうかを調べるために診察・検査などを行うこと。
続いて健診。
「健康診断」「健康診査」の略。
《「健康診断」「健康診査」の略》疾病の有無、体格・栄養・発育の状況などを医師が診断すること。病気の予防・早期発見、健康の保持・増進のために行う。
Wikipediaでは「検診」でも「健診」でも健康診断に飛ぶため割愛しました。
つまり、健診は健康診断の略です。「がん健診」「子宮頸がん健診」「乳がん健診」は誤りなので気を付けましょう。
迷うのが「歯科健診」と「歯科検診」です。昔は「歯科検診」を使っていたことが多かったと思いますが、今は「歯科健診」の方が多いような気がします。Googleで両方を調べても検索結果は「歯科健診」の方が多いです。
これは多分、虫歯だけでなく歯周病、口の中の腫瘍や口腔癌などをチェックし、口腔内疾患の予防・早期発見を行うなど、「口腔内全体を診察・検査する」、つまり口腔内の健康診断という意味合いなんだと思います。
その他
「噛む」と「咬む」
ネットで調べると、「噛む/咬む/嚼む(かむ)」と出てきて、どれも同じ意味で使用されています。つまり、どれを使用しても問題なさそうです。ただ、矯正歯科などは「不正咬合」という言葉があるように「咬」の漢字の方が馴染みがある気がします。なので矯正歯科サイトの場合は「咬む」で統一するのが良いかもしれません。
「虫歯」と「むし歯」
どちらでもいいですが、個人的には「虫歯」派です。理由は、ひらがなが続くとたまに読みづらかったりするのと、ひらがなが続いた時にGoogleが「むし歯」をキーワードとして認識してくれるのか不安なためです。
例えば「痛くない虫歯は~」と「痛くないむし歯は~」という文があったとして。Googleが「くないむし歯」や「いむし歯」をキーワードとして認識していたら「むし歯」で検索した人の検索結果に出づらいのでは?と思ってしまうためです。
あと、短い文なら別に読みづらくないのですが、長い文になると「ん?」ってたま~になるので。まぁ、Googleならちゃんと認識していると思いますが…
稀に「むし歯」の方が日本語で柔らかい印象を受けるからそっちで、という先生もいるので一概に「虫歯」が良いとは言えません。
正直、どちらでもなんの問題もないと思います笑
「開業」と「開院」
個人的には「開院」派です。「開業」はどんな業種でも使える言葉ですが、「開院」は病院やクリニックなど「院」が付く業種でしか使えない言葉だからです。あと辞書で調べたら「帝国議会が開かれること」とありました。
1 もと、帝国議会が開かれること。⇔閉院。
2 病院など「院」と名のつく施設・機関を新設すること。また、そのような施設が新たに業務を始めること。⇔閉院。
3 病院などが、その日の業務を始めること。⇔閉院。
なんか権威ある感じでかっこいいですよね!
それだけの理由です笑
医療機関ホームページでたまに見かける誤字
医療機関ホームページであるある間違い。みなさん、大丈夫ですよね?
「人間ドック」と「人間ドッグ」
人間ドックの“ドック”は船の建造、修理、荷役作業のための設備を意味する「dock」に由来するため、「人間ドッグ」は間違いです。たまに見かけます。
「消化器内科」と「消火器内科」
これもあるある間違いの一つ。「しょうかきないか」で変換すれば一発で出てきますが、「しょうかき」「ないか」で変換した場合に起こりうるミスです。身体の中の火を消すわけではないので注意しましょう。
ニュアンスとしては合っていますけどね笑
「全顎治療」と「全額治療」
口腔内全体を診察・診断し、健康的なお口になるよう治療を行うのが「全顎治療」。全額治療だと、財布が空っぽになってしまいます笑
「根管治療」と「根幹治療」
歯の根の中の神経や血管などが通っている管を治療するので「根管治療」と言います。根幹治療だと歯の悪いところを全て直す的な意味になってしまいますね。
「感染」と「乾癬」と「汗腺」と「観戦」
うっかりミスで多いです。自分もたまに間違えるので気を付けないと…
「初心」と「初診」、「最新」と「再診」
変換すると初心と最新の方が出てきやすいですからね。注意が必要です。
「受診」と「受信」
一般的に受診という言葉はあまり使わないので間違えやすいです。
「摂取」と「接種」
あまり間違えることはないですが念のため。
「患者様」と「患者さん」
これはとても興味深いテーマで答えなんてないのですが、自身の経験上の話をさせていただきます。
歯科は「患者さん」、医科は「患者様」が多い気がします。あと、医科歯科関係なく女医の場合、「患者様」が多い印象です。これはあくまで自身のWEBディレクターとしての経験上、あとクリニックがメインなので、病院や他の医療機関には当てはまらないと思います。実際、日本で名の知れた有名病院をいくつか調べてみたところ、圧倒的に「患者さん」が多かったので。でも、なぜなんでしょうね?不思議だなと思います。
一患者の意見としては「患者様」でも「患者さん」でもどちらでもいいです。自分は特に気にしません。ホームページで患者様と言ってるから丁寧だろうなぁとか、患者さんと言ってるから親しみやすいだろうなぁとか思わないですしね。結局、先生に会ってみないと分からないですし。
ただ、WEBディレクションをしていると患者様と患者さんどちらにするか先生に聞いて「こっちで!」と言われて色々と想うところはあります。「あ~こうだから“患者さん”なんだろうなー」とか「こうだから“患者様”なんだろうなー」とか。でもこれは自分のただの妄想なので説明は割愛させていただきます笑
以上、医療機関ホームページ制作で悩む単語や意味、よくある誤用・誤字をまとめました。
最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(_ _)m
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